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發布日期:2015-02-09
【取材記事】Vol.5 門外漢が人材・労務のエキスパートに/歐元韻さん
日本に比べ女性の社会進出が進んでいる台湾では、ビジネス界で男性と肩を並べて活躍している女性も少なくない。人材、労務のエキスパートとして台北を拠点に台湾各地と日本、中国を飛び回っている歐元韻もそのひとりだ。人材、労務に関してはまったくの門外漢だったが、今風に言えば「女子力アップ」でスキルや資格を身につけ、今の地位を築き上げてきた。流暢な日本語を話すが、大学に入るまでは「あいうえお」すら知らなかったという。(敬称略、以下同)
取材・文/吉岡桃太郎
日本語を勉強するとは思わなかった
大学入試多元化政策が導入される前の台湾には、日本の大学入試センター試験に似たような試験があった。国公立だけでなく、私立も含めたすべての大学の合否がこの試験の成績で決まるという仕組みだ。文系志願だった歐元韻は、苦手な哲学以外の学科を志望し、淡江大学の東方語文学学科(現・日本語文学学科)に合格した。「まさか日本語を勉強することになるとは夢にも思わなかった」
五十音から学び、日本のイロハを身につけていくうちに日本にも次第に興味がわいていった。大学4年生になったころには、日本へ留学したいという思いが強くなり、小論文では日本のテレビドラマ『3年B組金八先生』についても書いたという。「いえいえ、金八先生は題材のひとつで、テーマは校内暴力です。教育について学びたくなったんです」行動派の歐元韻は、大学の先生に相談したり、教育部(文部科学省に相当)に足を運んだりして、日本で教育について学ぶのにふさわしい大学を探した結果、広島大学と筑波大学が候補に挙がったという。
両親からは「東京(一帯)は誘惑が多いからやめなさい」とダメ出しがあったり、たまたま淡江大学の先生が広島大学の出身だったことなどから、最終的には広島大学の大学院教育学研究科で心理学を学ぶことにした。当時日本に留学するには、大学の試験や面接とは別に私費外国人留学生統一試験(すでに廃止)というのを受験する必要があったが、歐元韻は難なくクリア。日本と台湾では入学時期がそれぞれ4月、9月と異なるため、台湾の大学を卒業してから半年間は研究生として広島大学に通い、その後2年間で修士号を取得した。
卒業後は広島で知り合った日本人男性と結婚。そのまま広島に残り、しばらく教育委員会の嘱託職員として勤めていたが、結婚の条件でもあり、以前から「30歳までに台湾に戻る」と決めていたことから、30歳を目前に控えた歐元韻は夫婦で台湾に戻ってきた。
人身売買?と誤解された人材紹介
日本での経験を生かしたいと思った歐元韻は、職探しのため人材派遣などを手がけるパソナの台湾現地法人である保聖那管理顧問に人材紹介の登録をした。「どこか日系企業を紹介してもらえるかと思っていたら、なんとパソナの正社員にならないかとの話をいただいたんです」
当時の台湾には人材紹介の企業がほとんどなく、なんでもゼロからスタートするのが好きだという歐元韻のモチベーションはあがった。しかし「人材紹介」という概念がほとんど浸透していなかった当時の台湾では苦労も多かったようだ。子どもの職探しに付き添ってきた母親から「うちの娘を紹介した企業からお金をもらうって、おたくは人身販売やってるんですか?」と言われ面食らったという。
この母親の言葉をきっかけに「人材は商品」という考え方が芽生え、「自分がどのような商品かを理解する自己マーケティングや人材育成についていろいろ勉強するようになりました」そして社内で人材関連のさまざまな事業を立ち上げ、当初は数人だった社員も100人近くにまで増えたという。
独立して台湾と日本の架け橋に
長年の人材業界での経験を生かし、2008年に独立して丸虎國際顧問を立ち上げ、ゼロからスタートした歐元韻。「前の会社がやっていなかった企業研修をやってみたかったんです。労務の勉強もしました。とにかく試行錯誤の連続でした」
日本と台湾では文化や習慣が異なることが意外と多く、ビジネス面でも日本の常識が通用しないことが多々ある。中でも日本のビジネスマンにとっては当たり前の「報連相」(報告、連絡、相談)が、台湾ではあまり浸透していないことに驚く日本人も多い。「とにかく何か資格が必要だと思い、日本で報連相研修のインストラクター(※)の資格を取りました」日本と台湾の人材事情に精通した歐元韻のもとには次第に日系企業からの社内研修の依頼が殺到するようになったという。
現在、歐元韻は企業研修だけでなく、日本企業の台湾進出のサポートや商談会の運営、そして中国企業と日本企業の提携のサポートなども手がける。2013年には台湾で初めて「BJTビジネス日本語能力テスト」を実施した。ビジネスの場での日本語能力を評価するための試験だ。
「日本と台湾の架け橋になりたいという思いがあるんです。どの川も最後には海につながっている。私はその水先案内人なんです」台湾広島県人会の幹事も務め、ビジネスだけでなく、プライベートでも歐元韻は水先案内人として日本と台湾の架け橋になっている。
※ 日本報連相センター主催の「真・報連相研修」のインストラクター資格。
http://www.naruhodo.com.tw/hotcontents/?no=78
取材・文/吉岡桃太郎
日本語を勉強するとは思わなかった
大学入試多元化政策が導入される前の台湾には、日本の大学入試センター試験に似たような試験があった。国公立だけでなく、私立も含めたすべての大学の合否がこの試験の成績で決まるという仕組みだ。文系志願だった歐元韻は、苦手な哲学以外の学科を志望し、淡江大学の東方語文学学科(現・日本語文学学科)に合格した。「まさか日本語を勉強することになるとは夢にも思わなかった」
五十音から学び、日本のイロハを身につけていくうちに日本にも次第に興味がわいていった。大学4年生になったころには、日本へ留学したいという思いが強くなり、小論文では日本のテレビドラマ『3年B組金八先生』についても書いたという。「いえいえ、金八先生は題材のひとつで、テーマは校内暴力です。教育について学びたくなったんです」行動派の歐元韻は、大学の先生に相談したり、教育部(文部科学省に相当)に足を運んだりして、日本で教育について学ぶのにふさわしい大学を探した結果、広島大学と筑波大学が候補に挙がったという。
両親からは「東京(一帯)は誘惑が多いからやめなさい」とダメ出しがあったり、たまたま淡江大学の先生が広島大学の出身だったことなどから、最終的には広島大学の大学院教育学研究科で心理学を学ぶことにした。当時日本に留学するには、大学の試験や面接とは別に私費外国人留学生統一試験(すでに廃止)というのを受験する必要があったが、歐元韻は難なくクリア。日本と台湾では入学時期がそれぞれ4月、9月と異なるため、台湾の大学を卒業してから半年間は研究生として広島大学に通い、その後2年間で修士号を取得した。
卒業後は広島で知り合った日本人男性と結婚。そのまま広島に残り、しばらく教育委員会の嘱託職員として勤めていたが、結婚の条件でもあり、以前から「30歳までに台湾に戻る」と決めていたことから、30歳を目前に控えた歐元韻は夫婦で台湾に戻ってきた。
人身売買?と誤解された人材紹介
日本での経験を生かしたいと思った歐元韻は、職探しのため人材派遣などを手がけるパソナの台湾現地法人である保聖那管理顧問に人材紹介の登録をした。「どこか日系企業を紹介してもらえるかと思っていたら、なんとパソナの正社員にならないかとの話をいただいたんです」
当時の台湾には人材紹介の企業がほとんどなく、なんでもゼロからスタートするのが好きだという歐元韻のモチベーションはあがった。しかし「人材紹介」という概念がほとんど浸透していなかった当時の台湾では苦労も多かったようだ。子どもの職探しに付き添ってきた母親から「うちの娘を紹介した企業からお金をもらうって、おたくは人身販売やってるんですか?」と言われ面食らったという。
この母親の言葉をきっかけに「人材は商品」という考え方が芽生え、「自分がどのような商品かを理解する自己マーケティングや人材育成についていろいろ勉強するようになりました」そして社内で人材関連のさまざまな事業を立ち上げ、当初は数人だった社員も100人近くにまで増えたという。
独立して台湾と日本の架け橋に
長年の人材業界での経験を生かし、2008年に独立して丸虎國際顧問を立ち上げ、ゼロからスタートした歐元韻。「前の会社がやっていなかった企業研修をやってみたかったんです。労務の勉強もしました。とにかく試行錯誤の連続でした」
日本と台湾では文化や習慣が異なることが意外と多く、ビジネス面でも日本の常識が通用しないことが多々ある。中でも日本のビジネスマンにとっては当たり前の「報連相」(報告、連絡、相談)が、台湾ではあまり浸透していないことに驚く日本人も多い。「とにかく何か資格が必要だと思い、日本で報連相研修のインストラクター(※)の資格を取りました」日本と台湾の人材事情に精通した歐元韻のもとには次第に日系企業からの社内研修の依頼が殺到するようになったという。
現在、歐元韻は企業研修だけでなく、日本企業の台湾進出のサポートや商談会の運営、そして中国企業と日本企業の提携のサポートなども手がける。2013年には台湾で初めて「BJTビジネス日本語能力テスト」を実施した。ビジネスの場での日本語能力を評価するための試験だ。
「日本と台湾の架け橋になりたいという思いがあるんです。どの川も最後には海につながっている。私はその水先案内人なんです」台湾広島県人会の幹事も務め、ビジネスだけでなく、プライベートでも歐元韻は水先案内人として日本と台湾の架け橋になっている。
※ 日本報連相センター主催の「真・報連相研修」のインストラクター資格。
http://www.naruhodo.com.tw/hotcontents/?no=78